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「どこいったんや、桐…!」
(はよせな、いっちゃん傷つくんは、桐やで…っ)
とにかく、2人を同時に探そう。椿は一葉たちに連絡を入れながら、紅葉と桐のことを思い、ツラそうに顔を歪めた。
◆
それはまるで、逆隠れん坊のようだ。紅葉1人を探すために菖蒲や椿たち生徒会と、1ーAの半分以上が校内を駆け巡っているのだから。探しにいくのを渋ったクラスの親衛隊に、紅葉のことを知ってるのかと問いつめても何も吐かず、菖蒲の焦りは募る一方。
蓮見にも電話で伝えれば屋上にいたらしく、『ここにはいない、オレも探す』といってすぐに切れてしまった。他のクラスも何事かと騒ぎ出しているが、そこは黒澤先生の出番だ。生徒を落ち着かせながらも、紅葉を見ていないかと聞いて回っていた。
「……あ…っ、椿先輩!」
「おお菖蒲チャンやん。どや、見つかったか?」
「いえ…っ、はぁ…下手したら外か寮に…」
「広すぎやな…チッ、早よ見つけてやらんと」
「はい、……あの、桐先輩は…?」
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