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 だが左を向けば一本柱がたっているだけで、何の仕切もない開けた空間になっている。カウンターキッチンに、ソファー。追いかけっこが出来そうなくらい広い空間に、紅葉は自然と笑顔になりながら歩き回った。


「部屋は2階に4部屋。あがって左の海側は俺様の部屋だ、他のとこに入れ」

「! っ…っ…」

「……あ?」

【どこでもいいの?】

「…そういっただろうが」


 ふんっと鼻で笑おうと、テンションのあがりまくった紅葉には何も通用しない。嬉しそうにドタバタと階段をあがり、各部屋を確かめて右の海側の部屋に荷物を置いた。

 窓からは海が一望出来、眺めがとても綺麗なのだ。早速カバンから若葉の写真を取り出し、それを持って窓を開け、若葉にも見せてあげた。


(沖縄も綺麗やけど、ここもスッゴく綺麗!若ちゃん、見とる…?)

――"ははっ、かわええ紅葉しか見とらんかったわ"

(……ふふっ)


 なんだかそんな声が聞こえてきて、紅葉は穏やかな笑みを浮かべた。だがそのときだ。この別荘に向かってくる金髪の人を見つけ、紅葉は思わず腰を抜かしてしまった。

 ペタリ、とその場にしゃがみ込み、今見た光景を思い出す。



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