4 だが左を向けば一本柱がたっているだけで、何の仕切もない開けた空間になっている。カウンターキッチンに、ソファー。追いかけっこが出来そうなくらい広い空間に、紅葉は自然と笑顔になりながら歩き回った。 「部屋は2階に4部屋。あがって左の海側は俺様の部屋だ、他のとこに入れ」 「! っ…っ…」 「……あ?」 【どこでもいいの?】 「…そういっただろうが」 ふんっと鼻で笑おうと、テンションのあがりまくった紅葉には何も通用しない。嬉しそうにドタバタと階段をあがり、各部屋を確かめて右の海側の部屋に荷物を置いた。 窓からは海が一望出来、眺めがとても綺麗なのだ。早速カバンから若葉の写真を取り出し、それを持って窓を開け、若葉にも見せてあげた。 (沖縄も綺麗やけど、ここもスッゴく綺麗!若ちゃん、見とる…?) ――"ははっ、かわええ紅葉しか見とらんかったわ" (……ふふっ) なんだかそんな声が聞こえてきて、紅葉は穏やかな笑みを浮かべた。だがそのときだ。この別荘に向かってくる金髪の人を見つけ、紅葉は思わず腰を抜かしてしまった。 ペタリ、とその場にしゃがみ込み、今見た光景を思い出す。 [*前へ][次へ#] [戻る] |