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 そのためこの春は何だかんだと忙しかった。制服やら何やらを取り揃え、カバンに名前を縫い付ける。慣れない裁縫のせいで指は絆創膏だらけになり、出来上がったものもとても歪な形をしていた。それでも紅葉は喜んでいたので、若葉も満足げにしていたようだ。


「……問題は弁当やな…」

「やなっ」

「キャラ弁…って何やねん。どう作るんやぁ?」

「わかちゃ、が、ばって!」

「おー恥はかかせんさかいな。しっかしなぁ…」


 こんな手のこんだものが果たして作れるだろうか?幼稚園に通うまで残り少なく、若葉は手に本を持ち、ゔぅんと唸っていた。その足元にひっつく紅葉はよく理解していないのだろうが、笑顔で応援してくる。これは…、


(頑張らなアカン、な)


 まずは普通のお弁当から挑戦しよう。そう考えてとりあえずは見た目のいいものを作れるようにするらしい。そこから数日、朝も昼も夜も手作り弁当だったのはいうまでもない。


「わかちゃ、かぇー、ほしっ」

「カレーは弁当に入れれへんやろ…」

「んぅ?」




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