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「ぴぎゃっ!……っう…ふぇぇ、えーんっ」
「ああ、やからゆうたんに…紅葉、大丈夫か?」
「あんよ、いちゃ…の」
「えー…あー…痛いの痛いの飛んでけー…ってな」
「………んぅ?」
今のはなぁに?と首を傾げる紅葉に、若葉はただ笑顔を見せた。そのまま紅葉を腕の中に抱き、ごろんと横になる。お腹に感じる重みは幸せのしるしだろうか。
(ホンマ、何やっとんやろワイは…)
「わ、わかちゃ……えいっ」
「あだっ!こぉら紅葉っ」
「あぅぅ、こぇ、なぁに?」
「……ん?ああ、カチューシャや。髪とめてるん…ってまだ難しいやろ」
「むず、か、しーやぉ」
金色の髪を上へと持ち上げているもの。それを外し、紅葉にもつけてみる…が、大きくてハマらないようだ。2人してそれを笑い、穏やかな時間が過ぎていった…。
◆
──さらに時は流れ、紅葉が3歳の春。身長もようやく100cm近くまで伸び、毎日元気よくハシャぐため若葉も呆れかえっていたこの頃。世間でいう "幼稚園" に通う年にまで成長していた。
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