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「おい紅葉…紅葉ーっ!」
「ぅ、はぁいっ」
「ったく、目ぇ届くとこにいろっつったやろ」
「おめめ、いるん?」
「……はぁ、ワイのそばにいろや」
「わかちゃ、いるっ」
えへへ、と笑う紅葉はたどたどしいながらも走るまでになり、単語もたくさん覚えてきた。今じゃ色んなものに興味があるせいで、目を少しでも離すといなくなり、若葉はそのたびに大声で呼んでいた。
こういうとき、部屋が狭くて良かったとつくづく思う。
父親になってもう2年。離乳食からも卒業しようと色んなものに挑戦しだすこの時期に、若葉はついに料理をやり始めた。自分1人だったらしなかっただろう自炊、それほど紅葉を大切に思っているのだろう。本人は気づいていないが、紅葉が笑うと顔がデレデレになって逆に怖いくらいだ。
「もうすぐメシ出来るさかい、ちょお待ってーな」
「めしっ、めしっ」
「……あー…ご飯や。ゆうてみ、ご・は・ん」
「あぁぅ…ご、ぁ、んっ」
「ま、エエか。よぉ出来ました」
「キャハハ、なでなで、すきー」
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