4 「おい紅葉…紅葉ーっ!」 「ぅ、はぁいっ」 「ったく、目ぇ届くとこにいろっつったやろ」 「おめめ、いるん?」 「……はぁ、ワイのそばにいろや」 「わかちゃ、いるっ」 えへへ、と笑う紅葉はたどたどしいながらも走るまでになり、単語もたくさん覚えてきた。今じゃ色んなものに興味があるせいで、目を少しでも離すといなくなり、若葉はそのたびに大声で呼んでいた。 こういうとき、部屋が狭くて良かったとつくづく思う。 父親になってもう2年。離乳食からも卒業しようと色んなものに挑戦しだすこの時期に、若葉はついに料理をやり始めた。自分1人だったらしなかっただろう自炊、それほど紅葉を大切に思っているのだろう。本人は気づいていないが、紅葉が笑うと顔がデレデレになって逆に怖いくらいだ。 「もうすぐメシ出来るさかい、ちょお待ってーな」 「めしっ、めしっ」 「……あー…ご飯や。ゆうてみ、ご・は・ん」 「あぁぅ…ご、ぁ、んっ」 「ま、エエか。よぉ出来ました」 「キャハハ、なでなで、すきー」 [*前へ][次へ#] [戻る] |