6 いくらクスリを扱わない組といっても、いくら組長がまだ若いといっても、若葉はこの事実に対しては納得出来ないでいた。…かといって今更抜けるわけにもいかない。 「……そないなことしたら、紅葉はどうなるんや…なぁ?」 「んぅ?…キャハ、あぅー」 「なぁんも知らんと…」 (……ってワイ、こないなキャラやったか!?) でも、それでも…目の前の赤ん坊を手放すことが出来ない。どうしてもいいというのだから、どっかに預けることだって出来たはずなのに。何も知らずに無邪気に笑う紅葉を今一度強く抱き締め、若葉はちゃんと育てることを心に誓った。 決して生半可な気持ちで、父親になると決めたわけではない。 「ワイは裏のもんやけど…紅葉はエエ子に育てたるさかい、分かったか!」 「ふ、ぇ…っ、ぅわぁぁっ、あーっ」 「な、何でそこで泣くんや!泣き止め男やろっ」 …それでも雑なところは変わらないらしい。ワンワンと泣き出してしまった紅葉をあやすため、若葉は困り顔で立ち上がり、体を揺らし始めた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |