2 ……と、 「ぅぇ…びぇぇ、おんぎゃーっおんぎゃーっ」 「なっ…!?あ゙ー早よ寝てくれぇえっ!」 『うるせーぞ静かにさせろーっ!』 「じゃかぁしいわ、こちとらこないなことしたくてしとる訳やないわ!」 隣の部屋との言い争いも、きっとこれから増えるだろう。そして大声を出してしまったせいでまた泣き出した紅葉を必死にあやす。良かったことといえば、若葉で泣き止んでくれることだろう。強面の顔も紅葉には一応受け入れられてるらしい。 「紅葉ー泣くんやなかぁー男やろー」 「うっ、うっ…」 「そーや、そのまま眠りぃ…ぁふ、ワイも眠いわ…」 涙でグチャグチャの顔をグイッと拭いてやり、しっかり寝るよう体をゆらゆらと揺らす。それらはちょっと雑なところが目立つが、極道に入りたくて入ったような人とは思えないほど、優しい手つきだった。 それから30分後、ようやく本寝してくれた紅葉をベッドにおろし、若葉も寝ることが出来た…。 若葉にとって唯一の救いは、会社へ行かなくていいということだろう。朝早く起きることが無ければ、1日の生活リズムが成り立ってるわけでもない。家事をしなきゃいけないわけでもないので、ほぼ紅葉と同じリズムで生活出来るということだ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |