子育て
「おんぎゃーっ、おぎゃーっ」
「だぁあじゃかぁしい一々泣くなゆうとるやろっ!」
──ピタッ
「……っ、ふ…あ゙ーっ、おんぎゃーぁあっ」
「チッ、……くそったれ」
夜中だろうと赤ん坊には関係ない。若葉は半分キレながら起き上がり、ベビーベッドで泣いている紅葉を少し乱暴に抱き上げた。端から見れば幼児虐待の図そのものだが、紅葉を抱き上げた若葉は雑な手つきであやしていく。
「あー…何や、メシか?オムツか?早よ喋ってくれやぁ…」
「あぅぅーっ、ひっく、ん…ぅ」
「ホンマ体保たん…オカンってエラいなぁ…」
紅葉を引き取ってからまだ2日だが、若葉は精神的に結構キていた。夜中に起こされるといっても若葉は男だ、体力的には問題ない。…が、こう泣かれたりすると結構追い詰められるようだ。19歳にして初めて母親を尊敬した。
(組の方からは連絡ナシやし、置いていけへんし…最悪や)
連れてっても若葉からすれば何の問題もないのだが、それだと組長に問題が出てしまう。昨日の昼間、一回置いて買い物に出たのだが、帰ってきたときの泣きようが半端なかった。若葉は盛大にため息をつき、泣き止んだ紅葉をベッドへ戻した。
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