22
……前田の奴、ケンカを見慣れてすらねぇのか?メチャクチャ怯えてんじゃねぇか。
「ただ…目がいった、それだけじゃ…くっ、ダメかなっ?」
「っ…はぁ、いいんじゃ、ない…?」
──ガツッ!
「はぁ、はぁ…一目惚れは、あるって信じてるし」
「……っ、ふふ…良かった。僕もそう、思うよ…っ」
2人の腕がぶつかり合い、少し息を整え、クイーンの足が瑛太へ伸びてくる。
それをクルッと回ることで回避した瑛太は、そのままの勢いでクイーンの背中に向かって回し蹴りをした。
チッ、入りが浅そうだな…。
それにしても…、クルクル動くたびに揺れる黒髪。
暗闇に映える瑛太の白い肌。
ヒラリと舞うようにかわすその姿。
……黒蝶。
「綺麗だ……」
額から飛ぶ汗も光って見え、相手を見据える強いはずの瞳が、逆に守ってやりたくなるほど儚い。
儚くて、脆い。
それに…やはりクイーンの方が少しばかり上だ。ギリギリ勝てるかどうかの勝負だったが、それも怪しくなってきた。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!