23 「っ…チョウ、無理だけはすんな!」 「分か…てる…っ」 きっと経験の差だろう。 それでも瑛太は自分の身を守りながら、クイーンに攻撃を繰り出す。 何考えてるか知らねぇけど…見てるこっちがツレェよ、バカやろう…! 「そろそろ…っ…終わり、かなっ」 「そ、かも…ね…っ」 クルッと回りながら再び回し蹴りを繰り出す瑛太。 クイーンはそれに少し反応が遅れ、絶好のチャンスだ。 いけ、そのまま入れ…っ。 「ゃ、やめてくれよもう…!!」 ……前田の悲痛な叫び声が、聞こえた気がした。 * * * 経験の差、体力の差。 ギリギリ勝てると思っていた勝負も、怪しくなってきた。 冬だというのに汗が吹き出してきて、息も追いつかなくなってくる。 嫌だ、負けたくない。 勝って誉めて欲しいのに…っ! 「っ……はぁ!」 ──シュ…ッ 辰巳がよく綺麗だといってくれる回し蹴りを繰り出す。 するとクイーンの反応が少し遅れ、これはイケる…と思ったときだ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |