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2ー1
オレを気遣って、何もせずに前を歩く辰巳。その背中は大きいはずなのに小さく、胸がギュウッと締め付けられた。

オレは辰巳に、何を返してあげられる?



──ぎゅむっ


「……?」



何をするって、そりゃ今まで通りにすることが一番に決まってる。
でもそれが出来ないから、オレが今出来る精一杯のことをしたくなった。


だから前を歩く辰巳の服の裾を、握ってみた。
うん、これくらいは平気そうだ。



「えい、」

「ほら弘樹、おいてくよ」


「お、え、ちょっ、待てよー!」


「辰巳も、止まらないでよ」


「……あ、ああ…」



少しずつ戻していくから、
もう少しだけ待ってて下さい。


そのまま3人で食堂に向かい、ご飯を頼んで食べる。
なんてことない時間がとても愛おしく感じるのは、なぜだろうか…。




「………あ、そういえば…」


「んぁ?どうした」


「弘樹に聞きたいんだけどさ、オレと辰巳の目…って、似てる?」


「「はぁ?」」


「……いや、似てるっていわれて…自分じゃよく分かんなくて」



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あきゅろす。
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