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「にっ…逃げて、弘樹逃げて!」
「バッ、エータおいて逃げれるかよっ」
『そうそう、そっちも用あんだよな。最近妙にネコっぽくなってきたし』
「はあ!?」
『あの灰狼と別れたとなりゃ、絶好のチャンスだろ?』
ああ、やっぱそう見られてたんだ。
ついでに弘樹も、ヤな意味で狙われてたんだ。クイーン、アンタのせいだよそれは。
ジリジリと近寄ってくるそいつらに、オレたちはどうすることも出来ずにいた。
近寄って近寄って、そして手を伸ばして触れようとしてくる。
………いや、触れた。
嫌だ、やだ、またあんなことされんの、ヤダ…ッ!
『大人しく…』
「ぃっ…やだぁああっ!!触るなっ…オレは、オレには辰巳だけなんだよっ、お前らがさわんじゃねぇ…っ!!」
『ぐぁっ!』
『ちょ、誰だよ黒蝶は弱いっつったやつ…!』
無我夢中に目の前の男たちを殴った。
紫烏に植え付けられた恐怖も、嫌悪も、気持ち悪さも体中を駆け巡ったけど、それよりも怒りと憎悪が前へ出てきたんだ。
……自分より弱いやつだったからかもしれない。
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