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「ぁ…う、ん、気をつけて」
「バーカ、俺よりもお前が気をつけろよな」
「んなっ、アンタほどバカじゃないし!」
いや、バカかも。
だってさ、辰巳と普通に話出来ることがこんなにも嬉しいことだなんて、思いもしなかったんだ。
早く、早くあなたに抱き締めてほしい。……オレのせいで出来ないんだけど。
カバンを持って出て行った辰巳を見送り、弘樹と一緒に寮に向かう。
弘樹との距離はだいぶ縮まってきたけれど、やっぱりまだ触れられるのは怖い。
でも、何で弘樹はここまで大丈夫なんだろ。
「……でよ、…ん?」
「……ん?どうしたの弘樹」
「いや…何、あんたら」
「っ…嘘、いつの間に…っ!?」
『へへ、ちょっと付き合ってくれよ』
目の前に、いや、前と後ろに2人ずつ男が立ちふさがり、下品な笑みを浮かべてこっちを見ている。
そんなに話に夢中になってたのか、それともボーっとしてたのか、最悪なことにこんなことになるまで気づかないなんて。
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