24 「ぁ…う、ん、気をつけて」 「バーカ、俺よりもお前が気をつけろよな」 「んなっ、アンタほどバカじゃないし!」 いや、バカかも。 だってさ、辰巳と普通に話出来ることがこんなにも嬉しいことだなんて、思いもしなかったんだ。 早く、早くあなたに抱き締めてほしい。……オレのせいで出来ないんだけど。 カバンを持って出て行った辰巳を見送り、弘樹と一緒に寮に向かう。 弘樹との距離はだいぶ縮まってきたけれど、やっぱりまだ触れられるのは怖い。 でも、何で弘樹はここまで大丈夫なんだろ。 「……でよ、…ん?」 「……ん?どうしたの弘樹」 「いや…何、あんたら」 「っ…嘘、いつの間に…っ!?」 『へへ、ちょっと付き合ってくれよ』 目の前に、いや、前と後ろに2人ずつ男が立ちふさがり、下品な笑みを浮かべてこっちを見ている。 そんなに話に夢中になってたのか、それともボーっとしてたのか、最悪なことにこんなことになるまで気づかないなんて。 [*前へ][次へ#] [戻る] |