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ただそれだけが頭の中をグルグル回って、声が枯れるんじゃないかってくらい叫んだ。

名前を呼ぶこの人…キングから逃げようともがいて。


そう、キングだ。紫烏じゃない。紫烏じゃないけど、コイツも危険だ。



「助けて…ぇっ」

お願い辰巳、早くきて。



そう願うと、それが届いたのか辰巳の声がした。
でも辰巳に触れられるのも怖く、隅にうずくまっていると、目の前にはあの可愛らしいイルカが。

ふーっと一気に力が抜け、瞼が重くなってくる。



「ゆっくり、休め…」


「ん…っ」



ああ、良かった。
あなたの声は、ちゃんとオレに届くみたいだ。

とても安心するその声に導かれ、オレはあっという間に眠りについた。
…いや、現実から逃げるため、気を失わせたんだ。







「……ん゙…っ」


喉の痛みに目を覚ます。
外は暗く、夜目がきかないためフラフラしながら電気をつけた。

あまりの眩しさに目を手で覆い、少しずつ慣らしていく。
一番始めに目をやった時計の短針は、2を少し過ぎたところだった。


午前2時すぎ。



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