24
「はぁ…早く戻ってこーい…」
ずっと繋いでいた手が寂しく感じる。
辰巳に嫌な思いはさせたくないけど、オレとしては外でも繋いでみんなに見せびらかしたいくらいだ。
かっこいい…って見とれる人に、このかっこよすぎる人はオレの恋人なんだ、と。
……ああヤダヤダ。
嫉妬深くて嫌われちゃうよな、そんなんじゃ。
「あ…そだ」
せっかくお揃いで買ったんだから、ケータイにでもストラップつけようかな。
そう思って袋からとりだし、ケータイの穴に紐を必死になって通していた。
けれどふと手元が暗くなり、辰巳かと思って顔をあげ、
……言葉が出ないほど絶句した。
「っ……し、う…」
「おっ久しぶりぃ蝶々チャン♪俺の名前ちゃーんと覚えてたんだ?偉いねぇ」
「ぁ…っ、あ、な、で…っ」
「んんー?何がなんでなのかちゃーんといわないと人には伝わらないゾ」
「ひっ…!」
ツン、とオレの額を軽く押してくる紫烏は、嫌みなほどに笑顔だった。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!