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「っ…マジ、狼みてぇ…」


狼…な。
なら狼らしく、キバを剥いてやろうか。



睨みつけたままスッと一歩前に出、ボールへと手を伸ばした。

……が、ジャックはその前に仲間にパスを出しちまった。
少し意外だ。



「俺は1人で勝ちに来てんじゃねぇの。クラスで楽しんで優勝って決めてんだよ」


「………それこそ意外だ」


「うっせ、お前らの応援も小さいぞーっ!」

『『いっけー2ー6!!』』

「ぜったいかぁつ!」



あ、コイツ、いい奴だ…意外と。ククッ、こんなアツイ奴むさ苦しいだけだと思ったが…T-cardsにゃもったいねぇな。

けど、力不足なんだよ、ジャックも……T-cardsもな。



「来いよ…顔だけ爽やかマリモくん?」


「っ…それいうなぁあ!」



* * *



「はぁ……あ、レイジ」


テニスの試合を終えて辰巳たちのとこへ行こうとした。
けれどその体育館の入り口に、レイジが腕組みをして立っていたんだ。

思わず身構えてしまう。



「……こんなとこで何もしねぇ」


「信じらんないし…てか、ここにいるのが信じられない」


「………」


「……ああ、シロにでもムリヤリ連れてこられた?何だかんだいって、シロに操られてるよね」


「……あ゙?」



こんな行事に、出るような奴じゃないくせに。

っていうか…オレも何、挑発してるんだろ。レイジには勝てないの、分かってるくせに…っ。



「今、何つった…」


「……ごめん、今のはいいすぎた…」


「………チッ」



素直に謝れば舌打ちだけで済んだけれど、レイジは殺気を隠すことはしない。



……怖い、んだ。それが。

そんな自分が、情けないんだ。


オレ1人じゃ何も出来ていない。

オレ1人じゃ、こんなにも弱い。



「さっさと行け。シケた面見せるな」


「っ…そっちこそ、こんな日につまらなそうな顔するなよ!」



ダッ!
……と、それだけいってその場から逃げ出したオレ。

情けない…でも、こっちに向かってきてる辰巳を見たら、もうどうでもよくなった。


見てるだけで勇気が湧いてくる。




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