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「え、エーターッ、タッツー!」

「っ、弘樹?」


「お、俺置いてくなんてひでぇよっ」


「あ…ごめ、ん。……ってクイーン?」



いけない、弘樹のこと完全に忘れてた。
人混みから出てきた弘樹とそのマヌケな声に、少し安心してしまった。

いつもの弘樹がそこにいたから。辰巳とは違う、安心感。


でもその後ろには、野太い声で騒がれているクイーン…棗美鶴がいた。



「……何しにきた」


「弘樹くんを届けに?入口のとこで立ち往生してたからね、連れてきてあげたんだ」


「あ…どーも?」


「ふふっ、一緒にいいかな?ね、弘樹くん」


「……へっ、お、俺ッスか!?」



うわ…返事する前に辰巳の横に座ったし。
辰巳の嫌そうな顔、当たり前だよなぁ…チーム自体違うんだし。

弘樹も恐縮してる。
何でここで食べるんだろ…。



………あ、でも。



「瑛太、何食うんだ?」


「うん、和食御膳がいい」



視線が、減った。
視線が、変わった。


オレに向けられていたいくつかの視線が、クイーンに移った。
嫌悪とか欲望の視線が、一緒で大丈夫なのかというただの興味になった。

辰巳もそれに気づいたみたいで、何もなかったかのようにメニューを見始めた。



「え、エータ…俺1人で食うわ…」


「え…、」


「弘樹くん行くの?じゃあ僕も一緒に…」


「やっぱここで食べます」


「……いてもいなくてもいーから少し静かにしろ」


「別に僕も灰狼がいてもいなくてもどうでもいいんだけどね」



──バチバチッ



あれ…なんだろ、これ。
2人が睨み合ってるのに何も感じない。むしろこの感じ……ダブルデー…ト?みたい。

したことなんて、ないのだけれど。



「黒蝶も大変だね。誰かのせいで注目を浴びることになって…高見澤くんのままならこんなことなかっただろうに」


「……辰巳を悪くいうな」


「ちょ、エータ誰に向かって…!」


「誰って、クイーンにだけど?」


「……ああ、そっか…」




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