6 あー…弘樹からすれば副会長だもんね。そこにオレと辰巳。 オレなんかより弘樹の方が可哀想じゃないか。 オレは、何を思っていたのだろう。自分は可哀想だ、なんて…。 ▼辰巳side 贔屓目もあるかもしれねぇが、瑛太は綺麗な顔をしている。 それは初めて会ったときから変わってねぇ、俺の瑛太に対する印象だ。 だがそれは、髪をあげてるときに限る。髪をおろしゃあ逆に印象は悪くなる。 暗い、だせぇ、オタクっぽい。 目が見えねぇだけでこうも違う。 ……だから、今まではこんな視線なんて浴びたことなかったんだろうな。 『……っ』 息を詰まらせるようなそれに、見て明らかなほど青くなる顔。 チョウのときにもあった視線だが、ここではその数と強さがハンパねぇ。 俺でさえ気分が悪くなるんだ。 『気にすんな、ああいうのはシカトが一番だ』 そういって瑛太の手をとってやる。カタカタと震える手に、こっちを見てる全員殴り倒してぇ気持ちになった。 俺の瑛太をそういう目で見んのは許さねぇ。 つか…ああ、こんな思いさせるくれぇなら、せめて髪だけでもおろしとくべきだったか? 俺が来ちまったせいで、ツラい思いをさせちまったか? だが瑛太はいった、 俺のせいじゃねぇと。 くく、逃げてぇって顔してるのによ。 ………ま、幸か不幸か、クイーンが来て助かったのも事実だな。敵相手に癪だが、瑛太が、瑛太の気持ちが落ち着くならそれでいい。 それにコイツ、瑛太目当てじゃなさそうだしな。 * * * 「っ……おい美鶴、ざけんじゃねぇよ!」 『『きゃああっ』』 『佐々木様を朝から見れるなんてっ』 「うっせぇ黙れ!…部屋にいねぇと思ったらこんなとこで…分かってんのか!?」 ソイツは突然現れた。 朝から怒鳴り声をあげて、少し焦った様子で。 でもキングの登場にオレと辰巳は顔をしかめ、目を合わせた。 何しにきたんだ? さぁな、知るか…みたいな。 「横にいるのはcolorsの幹部。もちろん分かってるよ」 「そうじゃねぇ!俺がずっとコイツだけを想ってきたの知ってんだろうが!なのにヌケヌケと一緒にメシ食いやがって…!」 [*前へ][次へ#] [戻る] |