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 周りがああいう目で見てたのを知っていたのに。たった数分といえど遙香から離れてしまったことを後悔する。現に遙香は今、震える体を自分で抱き締め、うずくまったままだ。


「ハル…」

「に…に、にぃにっ」

「ごめんな…怖かっただろ」

「ひっう…僕が、何をしたの…?何でっ…何もしてないのにぃ…」

「…うん、ハルは悪くないよ」


 それに殴ろうとしてた訳じゃない。でも遙香は先ほどのをそう捉え、昔の恐怖が蘇ってしまったのだ。抱きついたまま離れない遙香をなだめ、狛璃はここに来たこと自体を後悔し始める。

 これから1時間は立ち直れないかもな、なんて考えていた狛璃だったが、意外にも10分で遙香は顔を上げた。


「大丈夫か?」

「…………ん。にぃに、ごめんね…」

「…へ?」

「弱くて、ごめんね」

「ハル…」


(迷惑かけちゃいけないのにな…)


 眉をへにゃんと垂らし、頼りない笑顔を見せる。そんな姿に狛璃は胸を痛めるが、遙香が今頑張っているのだ。何も言えない。





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あきゅろす。
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