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 何もいわなくなった狛璃に、気持ち悪がられたと思った遙香は泣き出してしまった。それにようやく反応した狛璃が慌てふためく。


「えっ、は、ハル?それって……え、いつもの好き…だよな?」

「ち、がう…っ!僕、好きなのっ、いっぱい、いっぱい好き!」

「っ…そんな……僕、僕は…」

「女の人といちゃ、やだっ!僕だけ、を見てっ…チューもいっぱ、したいの…ぉ」


 ふぇぇ…と涙を流す遙香に、衝撃を隠せない狛璃。必死に言葉を探しながら溢れてくる遙香の涙を拭う。


「……ありがとう、ハル…」

「ふっ……ぅん」

「でもね、にぃにはハルのこと…弟として大好きなんだ。もしかしたらハルも、それを勘違いしてるのかもしれないな」

「そ、なことないっ…!やだ、そんなことっいわな、で…」

「ごめん…ハルの気持ちを否定するわけじゃないんだ。ただ、やっぱり…にぃには、」

「っ、いいの!」

「え?」


 "好きにはなれない"、そういおうとした狛璃の言葉を遮って、遙香は声をあげた。まるで分かっていたかのように、でもすがりつくようにして狛璃を見上げる。その瞳は不安そうに揺れていた。





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