6 何もいわなくなった狛璃に、気持ち悪がられたと思った遙香は泣き出してしまった。それにようやく反応した狛璃が慌てふためく。 「えっ、は、ハル?それって……え、いつもの好き…だよな?」 「ち、がう…っ!僕、好きなのっ、いっぱい、いっぱい好き!」 「っ…そんな……僕、僕は…」 「女の人といちゃ、やだっ!僕だけ、を見てっ…チューもいっぱ、したいの…ぉ」 ふぇぇ…と涙を流す遙香に、衝撃を隠せない狛璃。必死に言葉を探しながら溢れてくる遙香の涙を拭う。 「……ありがとう、ハル…」 「ふっ……ぅん」 「でもね、にぃにはハルのこと…弟として大好きなんだ。もしかしたらハルも、それを勘違いしてるのかもしれないな」 「そ、なことないっ…!やだ、そんなことっいわな、で…」 「ごめん…ハルの気持ちを否定するわけじゃないんだ。ただ、やっぱり…にぃには、」 「っ、いいの!」 「え?」 "好きにはなれない"、そういおうとした狛璃の言葉を遮って、遙香は声をあげた。まるで分かっていたかのように、でもすがりつくようにして狛璃を見上げる。その瞳は不安そうに揺れていた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |