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 遙香をトイレに連れ込みながらそう思う。水で目を洗い、時間になるまで濡らしたハンカチで目を冷やす。そんな優しさが身にしみて、遙香はまた泣きそうになった。


「あのね…幸ちゃんにお話し、あるの」

「ん?今?」

「ううん…えっと…お昼」

「りょーかい。よし、教室行くか」

「うん!」


 そしてお昼、2人は空いてる教室を探してそこで食べることになった。周りから声はまったく聞こえず、2人の声がなんだか虚しく響く。


「どーしましたー?」

「幸ちゃんは、まだ…好き?」

「……ぶっ!!ぇ、な、何いきなりっ」

「ぅ…嫌い?」

「いやっ、そりゃ好き……です。でもだからどうしたいって訳じゃなくてですね、ええと…」

「ふふ、ありがとう」


 焦る幸慈がなんだかおかしく、遙香はクスクスと笑った。ふわっと花が咲くような笑顔に胸が高鳴るが、幸慈はそれを必死に抑える。


「なんか、ごめんね。幸ちゃんツラいよね…」

「あー…いや、別に。こうなるのを選んだのは俺だし…こういうのもありかなって」

「?」





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