4 遙香をトイレに連れ込みながらそう思う。水で目を洗い、時間になるまで濡らしたハンカチで目を冷やす。そんな優しさが身にしみて、遙香はまた泣きそうになった。 「あのね…幸ちゃんにお話し、あるの」 「ん?今?」 「ううん…えっと…お昼」 「りょーかい。よし、教室行くか」 「うん!」 そしてお昼、2人は空いてる教室を探してそこで食べることになった。周りから声はまったく聞こえず、2人の声がなんだか虚しく響く。 「どーしましたー?」 「幸ちゃんは、まだ…好き?」 「……ぶっ!!ぇ、な、何いきなりっ」 「ぅ…嫌い?」 「いやっ、そりゃ好き……です。でもだからどうしたいって訳じゃなくてですね、ええと…」 「ふふ、ありがとう」 焦る幸慈がなんだかおかしく、遙香はクスクスと笑った。ふわっと花が咲くような笑顔に胸が高鳴るが、幸慈はそれを必死に抑える。 「なんか、ごめんね。幸ちゃんツラいよね…」 「あー…いや、別に。こうなるのを選んだのは俺だし…こういうのもありかなって」 「?」 [*前へ][次へ#] [戻る] |