5 ▼理樹side 休み前となんら変わりのないハルちゃんにホッとする。 ようやくここまで仲良くなったのにパァにはしたくないからね。 まだこれといった笑顔は見てないけど、こうして2人で話してる時間は好きだな。 仕事の疲れもぶっ飛ぶよ。 「なんかオススメの本、ある?」 「そうですね……ちょっと思いつかないんで探しておきます」 「うん、お願いしよっかな」 「はい」 今はまだ先輩と後輩ってとこかな? 本当は本なんて興味なかったけど、ハルちゃんが楽しそうに読むから好きになった。仕事の合間に読んだりして、仲間に変な目で見られたこともあるしね。 休み時間で会えるのは30分くらい。始めの10分はハルちゃんと話して、残りは本を読むハルちゃんを見てるんだ。 あまり邪魔し過ぎて迷惑って思われても困るから。 早く、ハルちゃんの大切な人になりたいよ…。 * * * 遙香が本を読み始めてから15分、お昼休みの終わりを知らせる予備チャイムが鳴った。本からふと顔をあげ、また、といって理樹と別れる。本当に理樹とはここだけの関係なのだ。携帯のアドレスすら知らない。 [*前へ][次へ#] [戻る] |