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(理樹先輩やつれた顔してたな…)
きっと仕事詰めだったんだろう。そんなことを思いながら時間ギリギリで教室に戻る。すると幸慈が走り寄ってきた。
「ちょ、いないからビビったんですけど!!なー長ーいトイレ?」
「………」
「違うの?そうなの?いってごらん」
ん?と笑顔で問いかける幸慈。その顔があまりにも近く、遙香はギョッとして一歩下がる。
「……近いんだけど」
「わ、喋った!なぁ俺本気で仲良くなりたいんだけど?」
「俺は、いい。話しかけないで」
軽蔑の目でそう告げると、幸慈は気にした様子もなく席についた。午後は特に関わりもなく、放課後を無事迎えることとなった。
「遙香って部活入ってんの?」
「………」
「俺どうしようか迷ってんだよね。案内してくんね?」
(なんで…違う人に頼んでよ)
そう思ってても決して言わない。視線すら幸慈には向けず、遙香は教室を出た。買い物は昨日したから今日はまっすぐ家に帰る。もちろん部活になど入っておらず、放課後はほとんど寄り道せずに帰る。
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