6 周りの声なんて耳に入ってこない。雑音の中に紛れるのはシュッ、バシッという音だけで、飛んでくるボールに思わず目を瞑ってしまう。 だけど何人かバレー部がいるためか勝負は五分五分で、相手も結構焦っていた。とにかく遙香に向かって打ち、人がいなくなった方へ打つ。だから…遙香の周りが疲れてしまうのも無理はない。 ──バシンッ! 「遙香あぶねぇっ」 『っ…届かね…!』 『避けちまえ小鳥遊っ』 「ぁ…わ、わっ……ん゙!!」 女の子のような構えのまま遙香は目を瞑ってしまった。誰もが顔を青くし、女子が目を覆い隠す。……でも、そのボールは遙香の顔でなく手にしっかりと当たり、高く上にあがった。 『っしゃ、ナイス!』 「うぇっ…い、たい…ビリビリしてる…ッ」 「遙香ー手ぇ大丈夫かー!?」 「……ダメッ…」 「え゙、ちょ、あと少しだからもう逃げろっ」 「ん…うん、」 [*前へ][次へ#] [戻る] |