5 「ねっ、先輩せんぱいっ!」 「ん?」 「今日の夕飯は僕が作ってもいいですか?」 「いいのか?」 「はいっ!先輩のために作りたいんですっ」 「それは嬉しいな。だが…材料がない」 なにぶん男の1人暮らし。インスタントやお弁当、外食が主なためまともな材料なんて揃ってないのだ。それを聞いて遙香は買いに行くといいだした。 「なら俺も…」 「ううん、先輩は待ってて?えへへ、秘密にしたいんですっ」 「大丈夫か?1人になるのは危険だろう」 「もー大丈夫ですって。待ってて下さいね?」 「……ああ」 (ふふ、何作ろっかなー) 駿から財布を預かった遙香は、とても楽しそうにスーパーへと向かった。何人か遙香を見ていた人がいたが、それが気にならないくらい気分は上がっているらしい。最近では久しぶりだ。 そして買い物を終えた遙香は駿の家へと帰った。預かっていた合い鍵で中に入ると、リビングにいた駿は書類とにらめっこをしていた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |