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春休みだったから。可愛く飾られたお弁当を食べ、遙香は立ち上がる。向かう先は図書室。人も少なく、いつも休み時間に読んでいる本を交換できる。
その図書室は普通科と特進科が垂直に交わる所の2階にある。つまり校舎はL字型なのだ。その一階は学食があり、3階には生徒会室もある。特進科の人とはそこ、もしくは特別教室(理科室等)の移動のときしか会えないため、学食はよく混むのだ。
そんな学食を横目に、遙香は2階の図書室へ向かう。そこには図書委員と真面目に勉強している人しかいない。しかもしきりで仕切られた場所もあるのでとても落ち着けるのだ。
(んーっ、本の匂い)
紙は何も言わないから好き。遙香は次に読む本を探し、図書室の奥の方に座る。ペラ、ペラとめくっていくと、ふと本に影が差した。
「久しぶり」
「あ…お久しぶりです、理樹先輩」
「相変わらず可愛いね」
「そうですか?」
この、遙香と普通に話しているのは右京理樹。美形にとても似合うオレンジの髪。私服なのに雑誌から飛び出したような格好をした彼は、正真正銘のモデルだ。特進科の生徒であり、副会長でもある。
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