8 「お邪魔しま、す」 (まだ寝てるのかな…) 家の中はシン、としていて人の動く気配はない。そっと階段を上り彰鬼の部屋の戸を開けると、ぐっすりと眠っている彰鬼がいた。遙香は起こさないようにその布団に入る。 整った顔なのに、眉間にシワを寄せながら寝ている彼。チームのリーダーをしている彰鬼は人前で寝るなどありえないのだが、遙香のときは絶対に起きないのだ。 遙香は面白そうに彰鬼を見ていた。 (カッコイいなぁ…わ、筋肉凄いっ!いいな、いいな) ツン、と鼻を触ったり服の上から胸板を確かめたり。男らしい体に遙香はいつも憧れているのだ。ふふ、と笑いながら触っていると、突然腕を掴まれた。 「わぁっ!?」 「なーにしてんだよ、遙香チャン?」 「いっ、いつから起きてたのぉ…?」 「んー布団に入ったあたりからじゃね?」 「ええっ、そんな前から!?」 恥ずかしそうに耳を赤くしながら、ぷぅと頬を膨らました。彰鬼はそれを愛おしそうに見、手を引っ張って自分の上に乗っける。引っ付くほど体格の差がよく分かり、遙香は悔しそうな顔をした。 [*前へ][次へ#] [戻る] |