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「いただきまーすっ」
「はい、どーぞ」
「んぅ、おいひーっ」
「ハルかわいーっ」
今日の夕食は狛璃が作ったコロッケ。一口食べれば肉汁がジワーと広がり、自然と笑みが零れる。そんな遙香に狛璃も鼻の下を伸ばした。
「なーんか今日のハルは可愛いなぁ。…いいことあった?」
──ドキッ
「っん…く、何で分かったの…?」
「あったのか!にぃにに教えてくれるかな?」
「いいともーっ、へへ」
喜びが顔に出るほど遙香は上機嫌だったのだろう。一度水を飲んで狛璃に向き直り、こういった。
「僕ね、友達できたっ!」
「………」
「……にぃに?」
「っ…よくやったぞハルーッ!!」
「んわ、危ないよぅ」
「にぃには最っ高に嬉しいぞー!」
机に身を乗り出して遙香の頭を抱き締める狛璃。それが少し照れくさく、でも喜んでもらえたことがとても嬉しい。遙香の顔が徐々に赤くなってきたとき、狛璃はやっと離れた。
「それはもしかしてあの子かな?」
「うん、幸慈くん。……あのね、幸慈くんなら…裏切らないんじゃないかなって思うの」
「ハル…」
(そういう選び方かぁ…)
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