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 その傷を見られて遙香は暴れ出した。涙で顔をグチャグチャにして、怯えきった表情で。幸慈が男たちを殴ってるのにも気づかないほど。


「んぅぅっ…んぐ、ふぅっ!!」

「は、遙香…っ!……出てけよ…てめぇら出てけ!!」

『…ユッキー、お前も手ぇ出すなよ』

「分かってる」


 同じグループの男子が残りの3人を引き連れて出て行く。その部屋には遙香と幸慈の2人になり、遙香の泣き声だけが聞こえてくる。


「遙香…大丈夫、か?」

「嫌だっ…見ないで、お願いっ…ごめんなさい!ごめんなさっ、やぁぁ」

「っ…遙香!」

「ふぇぇっ、にぃに…助けてにーにっ…!!やだよぉ…ひぅ…、もう止めてぇっ」


(どうすりゃいいんだよ…っ!!)


 近付こうとすれば怖がられ、少し離れるともっと怯え出す。その背中の傷も気になるが、やはり泣き止まないことには始まらない。とりあえず幸慈は自分のTシャツを遙香に渡した。


「まずはそれ着ようぜ、な?」

「ぅぅっ…ひっく…っ…ぅ……ふぇぇ」





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