5 その傷を見られて遙香は暴れ出した。涙で顔をグチャグチャにして、怯えきった表情で。幸慈が男たちを殴ってるのにも気づかないほど。 「んぅぅっ…んぐ、ふぅっ!!」 「は、遙香…っ!……出てけよ…てめぇら出てけ!!」 『…ユッキー、お前も手ぇ出すなよ』 「分かってる」 同じグループの男子が残りの3人を引き連れて出て行く。その部屋には遙香と幸慈の2人になり、遙香の泣き声だけが聞こえてくる。 「遙香…大丈夫、か?」 「嫌だっ…見ないで、お願いっ…ごめんなさい!ごめんなさっ、やぁぁ」 「っ…遙香!」 「ふぇぇっ、にぃに…助けてにーにっ…!!やだよぉ…ひぅ…、もう止めてぇっ」 (どうすりゃいいんだよ…っ!!) 近付こうとすれば怖がられ、少し離れるともっと怯え出す。その背中の傷も気になるが、やはり泣き止まないことには始まらない。とりあえず幸慈は自分のTシャツを遙香に渡した。 「まずはそれ着ようぜ、な?」 「ぅぅっ…ひっく…っ…ぅ……ふぇぇ」 [*前へ][次へ#] [戻る] |