12 香「涼…落ち着いたとこで悪いんだが話がある」 『な、んですか?』 「誰にやられた?お前を連れ去ったのは誰だ」 ─シーン… みんなが話を聞こうと静まった。だけど涼からの答えは分からない。ずっと目隠しをされていたのだから当たり前なのだが、このままではみんなの怒りが治まらない。 そんなことを知らない涼はのんきに自分の様子を観察し始めた。 『…あれ?僕の服どうしちゃったの?』 「ああ、破けちゃってたから俺のジャージ着せてやったぜ!」 『これ陸ちんの?わぁー大きいねっ』 「俺のを涼が着るなんて…最高だっ」 服が制服からジャージに変わっているのに驚いた涼は、なぜ服が破けたのか分かっていないようだ。それはまたみんなを悲しませる結果になるが、笑顔になったんだからと何も言わないことにした。 『…あ、そういえば…』 ふと涼が何かを思い出したようにこういった。 『そこにいた人、英士先輩のこと何か言ってました』 「…僕?」 『はい。えーっと…愛してるのにって』 [*前へ][次へ#] [戻る] |