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「そんなとき事故にあったんだ、俺。ああ、これで死ねる、やっと終わるって思った……嬉しかった。

でもこの通り助かった。何で助かったんだろう、何で死なせてくれなかったんだろう。色んなことが頭ん中渦巻いて…自殺、しようとした」

『ふっ…うっ…』

「…でもそれも叶わなかった。もうまじ辛かったよ。この世に神様なんていない。俺をただ苦しませて楽しんでるんだって。

─そのとき、義母さんが俺を叱ったんだ。ここにいるじゃないって。俺それがすげぇ嬉しくてさ、生きてていいんだって初めて思った。

でもな、たまに生きてるのか死んでるのか分かんなくなるんだ。俺が初めて生を感じたのは、義母さんに叩かれたときの痛みだった。だから痛い思いをするとああ生きてる…って思うんだ」

『うぅっ…ヒック…』

「怖いよな。ごめん。…それでも血を流さなきゃいられないんだ。たまに、本当にたまにだけど自分が抑えきれなくなる。血を流して流さして。痛みを感じて、ああ生きてるって。

だから髪も赤く染めた。血みたいだろ?……安心するんだ」


そこで竜也は言葉を止めた。誰も何も喋らず、涼の泣き声だけが響く。

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