6 『ふえっ…たっちゃ、ツラかった、だねっ…』 「そんなこと…」 『ねぇ…死んでる、なんて思わないで』 泣きながらも今度は涼が話始めた。 『たっちゃんは死んでないよ?ちゃんと、ここにいるもんっ…。ねぇ…殴ったとき、たっちゃんは痛くない?』 「…痛いよ」 『その手も、心も痛いでしょ…?殴って楽しいなんてこと…ない!きっとたっちゃんもつらいんだよ…。そんなの、僕はいや』 竜也と誰かを重ねるように涼が言った。竜也はただ、じっと涼の言葉を聞き続ける。 『痛みじゃなきゃ、ダメかなぁ…?血を見なきゃ、いけないかなぁ…?たっちゃんはちゃんとここにいるのに、こんなにも暖かいのに。 それだけで生きてるって思えないかなぁ…?そばにいる人が泣いてくれることで、自分はいなきゃいけないって…思えないかなっ…』 「りょ、う……泣くなよ。俺がこんな話したからだよな…」 『違うよっ!たっちゃんだから、たっちゃんのために涙が出てくるのっ…!!たっちゃんがここにいてくれるから、僕はたっちゃんのこと思えるのっ』 [*前へ][次へ#] [戻る] |