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英士が涼を抱えているため、香が先に中へ入る。理事長は何だという顔を向けるが、次に入ってきたその人に顔を真っ青にして慌て始めた。
「りょ、涼ちゃん!?なんで…涼ちゃん!!」
「あのっ!…今は気を失っているだけですから」
涼を揺さぶって起こそうとする理事長を英士が止め、涼をソファーへ横たわらせる。涙で濡れた目元が、どんなことがあったのかと余計に理事長を不安にさせる。
「何が、あった?」
「……親衛隊に、襲われました」
香がゆっくりと口を開いた。実際に見ていた訳でも話を聞いた訳でもないので、大部分が憶測だがそれでも理事長と英士は静かに聞いていた。
「多分酷いことはされてないでしょう。しかし…とても怯えていて、こちらに気付くまで時間がかかりました」
「…それはどこであった話だ?涼ちゃんは見つかったときどんな格好で、何を言っていた?」
「体育館倉庫に目隠しをされ、手を縛られていました。…出してくれ、と謝りながら叫んでいました」
「そう…か…」
話を聞いた理事長はドカッと椅子に崩れ落ちた。
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