6 『英士先輩』 「ん?」 『僕、何もしてないんですけど…』 「いいの。こうしてるだけで癒されるから」 『はい!じゃあいーっぱいぎゅってして下さい』 「…何この子…かっわいー!」 『ッキャーははっ』 自分から抱きついてきた涼に機嫌をよくした英士は、可愛いといって頬擦りをする。涼はくすぐったそうにしているが、どこか楽しそうだ。 …と、そこへ実行委員がやって来た。 「ランクの投票お願いしまーす」 パソコンをそこにいた人たちに差し出し、回っている。 「おっ、来たか」 待ってましたと言わんばかりの陸。順番が回ってきて目をキラキラさせながらパソコンを開いた。 「やっぱ抱きたいは涼だろー」 『ねーねーそれなぁに?』 「え、涼知らないの?」 『?』 首を傾げる涼。もちろんこんな子がランキングのことなど知るはずもなく、またそのことを知らなかった英士がさらに驚いた。 「そうだな…誰をぎゅっとしたいか、誰にぎゅっとされたいかってとこだな。涼は誰がいいんだ?」 『えっ、うーん…』 そんなことを急に言われてもすぐに答えは出てこず、涼は考え始めた。その間に他の人たちが投票していく。 [*前へ][次へ#] [戻る] |