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だがそれで何かが変わるわけでもなく、元太が再びかかってこないのを確認すると、また涼の服に手をかけ始めた。
「も、ええ加減にせぇ!!」
ぼんやりと見える視界に、涼の嫌がる叫び声。非力で弱虫な自分を助けてくれた彼を助けたい。そんな思いで元太は怒鳴り声をあげた。
さすがにそれにはびびったらしく、全員が元太をみる。だがそこにいたのは…青い目で強く睨みつけてくる人だった。
「え…うそ、誰…」
「やば…かっこいい…」
メガネをかけていない以外どこをどうみても元太なのに、単純な彼らは知らない人がいると思っているようだ。涼だけが元太と分かっている状態だ。
『斉藤…先輩!!』
「うそっ!だってこんな…」
「その手ぇ離しぃや。あんさんらが相手しとんのは僕やろ?それ以上浅見君に何かしよったら…退学、覚悟してもらいまひょか」
生まれて初めてキレているのではないかという元太。涼よりも深い青の瞳でみんなを睨みつける。それに伴い関西弁にもドスが入ってくるし、背も大きいので迫力がある。
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