3 だがそれで何かが変わるわけでもなく、元太が再びかかってこないのを確認すると、また涼の服に手をかけ始めた。 「も、ええ加減にせぇ!!」 ぼんやりと見える視界に、涼の嫌がる叫び声。非力で弱虫な自分を助けてくれた彼を助けたい。そんな思いで元太は怒鳴り声をあげた。 さすがにそれにはびびったらしく、全員が元太をみる。だがそこにいたのは…青い目で強く睨みつけてくる人だった。 「え…うそ、誰…」 「やば…かっこいい…」 メガネをかけていない以外どこをどうみても元太なのに、単純な彼らは知らない人がいると思っているようだ。涼だけが元太と分かっている状態だ。 『斉藤…先輩!!』 「うそっ!だってこんな…」 「その手ぇ離しぃや。あんさんらが相手しとんのは僕やろ?それ以上浅見君に何かしよったら…退学、覚悟してもらいまひょか」 生まれて初めてキレているのではないかという元太。涼よりも深い青の瞳でみんなを睨みつける。それに伴い関西弁にもドスが入ってくるし、背も大きいので迫力がある。 [*前へ][次へ#] [戻る] |