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俺は一瞬見入ってしまった。金の髪に、涙で濡れた蒼い瞳。女の子と間違えてしまいそうなほどの容姿。言葉を無くしてしまった。

そしてその子の上には英士と呼ばれる男が…男…が…ってあれ副会長だ……しかも完全にSのほうだし。


「何やってるんですか?出てって下さいよ」


あの副会長に喧嘩を売るのは無謀だ。だが、面倒を頼まれたんだ、助けてやらないと。…すぐに出て行ってくれたのは幸いだったな。

そして沈黙。
何か気まずいな。取りあえず自己紹介しとくか。そう思って口を開こうとしたらむこうが先に喋り出した。


『あのっ…ありがとうございました』


もう涙の乾いた瞳でお礼を言ってくる。自分の名前を言えば可愛い声で"京ちゃん"なんて呼んでくる。


…京ちゃん?いや、ちょっと待て。いくら可愛いとは言え京ちゃんはないだろ。そう否定しようと涼の方をみると涼もこちらを見ていた。

その瞳は俺に妥協せざるを得ない輝きを放っていた。悪人になることも出来ず、


「涼だけ特別な」


なんてことを言ってしまった。そう…一目見たときから特別な存在になってしまったんだ…。


* * *


「これから先分かんないことがあったら何でも聞けよ。俺の部屋にきてもいいし」

『わーいっ、京ちゃんはいい人だぁ』


しみじみ、そんな雰囲気が広がる涼の部屋。2人は今涼の荷物の片付けをしている。日常的なものは意外に少なく、逆に驚くほど出てくるのがぬいぐるみだ。

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