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涼の事を言ったのに伝わらない。もどかしい気持ちだ。

『ねっ陸ちん陸ちん。イルカさん見に行こ?』

涼が服を引っ張りながら言ってきた。上目遣いで首を傾げて。そんな姿に陸が必死に抑えているにも関わらず、涼は腕を引きながらどんどん進んでいく。でもなかなか自分で来ようとしない陸に不安を抱いたのか、

『…イルカさん…嫌?』

と悲しそうに聞いてきた。

「いっ、嫌なわけ無いだろー!!」

『んわぁっ!?』

いきなり陸が涼に抱きついた。ぎゅっと強く優しく愛おしそうに。これでも十分頑張った方だろう。腕の中で涼がもがいてようが周りが見ていようが関係なく、しばらくの間そのままでいた。

あの後涼はやっと解放され、イルカを見に行った。ちょうどショーが始まる時間で2人はそれを十分堪能し、水族館を後にした。



──帰りの電車の中、涼は疲れて寝てしまったようだ。陸の肩に頭をのせ、スースーと寝息をたてている。

そして降りる駅についても一向に起きる気配はなく、陸も無理やり起こすなどはせず、涼をおんぶした。

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