血と竜也
次の日、竜也は学校を休んだ。いや、正確に言えば消えたのだ。部屋にもいない。学校にも来ない。携帯も繋がらない。
『たっちゃん…どうしたんだろ』
お昼休み、未だ姿を見せない竜也に涼が心配そうな声を漏らした。他の人も訳が分からず黙っていたが、食堂へ英士が現れたことによって事は急変する。
「ねぇ涼。あの赤いの、今日来てる?」
『たっちゃんですか?今日はいないんです』
「…やっぱり」
そう呟いた英士は何かを知っているようだ。涼がどうしたのかと聞けば、
「裏門のカメラにね、赤い髪の子が映ってて。もしかしたらと思ったんだけど…」
と説明してくれた。放課後は自由に外を出入りできるが、授業中は出てはいけないことになっている。ましてや裏門から隠れるように出て行くなんて、これはもう普通ではない。校則違反にあたるのだ。
「まぁいいや。帰ってきたら生徒会室に来るように伝えてね」
『あ、はいっ』
今回は本当にその用件だけで来たのだろう。涼の頬に軽くキスをして去っていった。
「何でまたこんなことしたんだ」
海が涼の頬を拭きながら言った。髪の色は異常だが、至って普通の生徒。抜け駆けしたり授業中に寝ることはあったが、校則を破ってまで危ないことを犯すような人ではないのだ。
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