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「なっ…何笑ってんだよ涼!!」
『だって…仲いいなって。兄弟喧嘩とかいいなって』
「よくない。涼は一人っ子なのか?」
『ううん。でも……したことないから』
そう言って笑った涼の顔はどこか遠くを見ていて、凄く悲しそうな顔をしていた。儚くて、でもきれいな笑顔。みんながそれに見とれてしまった。
*竜也side*
ご飯を食べ終えたころ、涼が外をみてこういった。
『あ…今日の月は何か赤いね』
「ん?あー確かにな」
窓際に座ってた京一が外をみて頷いた。双子も身を乗り出して見ている。
…でも、俺は?
動かない。体が動かないんだ。
真っ赤な月、
闇夜に浮かび上がる血の色。
血の、色……血の、匂い。
『たっちゃんはみないの?』
「え、あ、俺は大丈夫だよ」
『そっか』
大丈夫…?
何が…?
俺は……
俺は……
誰だ?
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