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初恋は幼馴染み
昼のお誘い

「よかったら、一緒にご飯食べませんか?」

偶然廊下で永倉と出会ってそう提案されたのはものの数分前。
目的地らしい教室に入ると、視線が俺にに集中したが、気にする義理もない。永倉の後についていく。

「慶一、今日は犬塚さんも一緒で良いよね?」
「…ん?あぁ」

承諾を貰うと門田が使ってる机の周りに空いてる椅子を二脚引き摺って"どうぞ"と促す永倉。
別にんな気ぃ遣わなくたっていいと言う言葉は胸の内にだけにし、短い返事だけ返した。
そして門田、永倉、俺と言った配置で座っている。
机には内容が同じのお弁当二つと複数のパンに各自の飲み物。
永倉のいただきますを合図に飯を食い始める俺達。

「しっかし、珍しいな。お前が犬塚連れてくるなんて」

純粋にそう思うだろうな。俺だってこいつとここで昼飯を食うのはこれが初めてだし。
大体、俺から会いに行ったりと直接的な目的がこいつでないと会うとか話すことは稀だったな。

「廊下でばったり会ってさ。玉砕覚悟で誘ってみたら良いって言ってくれて」
「ふーん」

――永倉の誘い断ってまであいつらと食いたいと思わねーよ

つか、そんくらいで喜ぶな。顔緩みっぱなしで門田も呆れてんぞ。

「でも、犬塚も嫌だったら嫌って言ったっていいんだからな」

涼しい顔して余計なこと言いやがって。永倉を不安にさせてんじゃねーよ。

「別に。嫌だったらまず相部屋なんかになんねーよ」
「い、犬塚さん…」

感動してんのかわかんねーけど、視線がむず痒くて永倉の頭を雑にかいてやった。

「それにこいつの飯も悪くねーしな」
「へー…。んだよ、愛斗」

視線を永倉から門田に移して笑ってると、どうやら永倉もあいつを見ていたらしい。
押し殺したような笑いが傍から聞こえてくる。

「なんだよ、慶一ー。自分がいつもパンだからって俺に嫉妬してんのか?」
「はぁ?何アホなこと言ってんだよ」

本当にアホだな。嫉妬してる相手が弁当って小学生じゃねーんだからよ。
目ぇ見りゃ一発だろ。こいつが嫉妬してるのは俺自身だ。

俺の気も知らないで…と愚痴も零したくもなるが、永倉は知らないままでいいと思う。

「いいっていいって。そんな悲しい慶一には俺お手製お弁当を分けてやるよー」

すると永倉は自分の弁当を箸ごと門田に渡した。そしたら、お前の食べる分はどうするんだと思っていた思いは杞憂に終わった。
いくつかあるパンの中から一つ選んで封を開けて許可なく齧り付いた。

「おま…ただそれ食べたかっただけだろ」
「あはは、そんなことないし」
「…………」

だが、俺も嫉妬している。永倉が門田にする笑顔や態度、話し方。
俺には見せないそれらが酷く羨ましくもあり、苛立つものだった。

目の端にパンの中身なのか永倉の口の周りには生クリームが付いてる。

「永倉」
「いぬづ――」

指の腹で掬ってそれを自分の口へ持っていく。口の中に甘さが充満する。

「甘ぇ」
「そりゃそうですよ。生クリーム入りメロンパンなんですから」
「ちょ、ちょちょちょっ」

鈍い永倉は平然としてるがさっきまでこいつの弁当を食っていた門田は箸を落とした。

「どうしたの、慶一」
「うん…まぁ別にいいんだけど、お前な…」

門田の焦りっぷりに優越感を覚えてるあたりで我に返り、ため息が出る。
俺は相当永倉のことが好きらしい。


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30万打記念
くろこさまリクエスト
犬塚×愛斗
犬塚、愛斗、慶一の三人でお昼 甘々

こんなぐだぐだになってしまって申し訳ありません…!しかも、甘々じゃない…!


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