REBORN!短編
忘れないよ1827※ハチ〜約束の犬〜パロ
※これは私輝が青山テルマ「忘れないよ」を聴いて勝手な妄想を繰り広げた際に出来たパロディです
獣化ではありませんが、元ネタの通り死ネタですので苦手な方はご遠慮下さい!
ホゥと吐いた白い息が顔にかかり、一瞬だけ温かさが頬を掠める
沢山の人が行き交う駅の改札口。ホームでは一日に数え切れない程の言葉が飛び交い、一人一人別々の目的地を目指して改札を抜けていく
そんな人混みの中から今日もあなたをキョロキョロしながら探す夕方5時30分
いつもあなたは右から二番目の改札を抜けて帰って来る。そして、「ただいま」と言いながら優しく抱きしめてくれるんだ−−−
ジンとする冷たい耳をあなたの胸に当てると、トクトクと心地いいリズムが俺を安心させてくれる
「お帰りなさい、雲雀さん」
そう言ってかじかんだ手でいたずらにあなたの顔を包むと、「……ごめんね、明日二人で手袋を買いに行こう」と肩を落として謝るのが可笑しくて
毎日毎日、俺は駅に足を運ぶんだ
「迎えにいく」とも「5時30分に駅に着く」とも、お互いに約束などはしていないけれど、心のままに、思ったように行動すればいつもそこには雲雀さんが立っていてくれてそれが当たり前だった。だからいつもよりも帰りの遅い今日だって頭の中は雲雀さんと一緒に手袋を買いに行くことでいっぱいで、きっと何かトラブルでもあったのだろうと、少々の遅れも特に気にもせず待っていられる
はっきりと自身の存在を主張するようになった息も、赤みをさす手のひらも、全部あなたとの約束の為なら我慢できる
でも時計の針がいくら進んでもあなたは一向に帰っては来なくて、じっと右から二番目の改札口を見つめ続けていたのに、いつの間にか出てくる人の数も減っていく
結局その日、雲雀さんは帰って来なかった
それでも俺はいつあなたが帰って来てもいいように、同じ場所に立ち続ける。あなたが改札を抜けたら、一番に俺が目に入るこの場所で
何日も何日も
何度も月曜日がやって来ても
何度も頭の上に月が登っても
ただ、あなたと手袋を買いに行くことだけを…いや、あなたに逢うことだけを考えて
「綱吉君、君の待っている人は来ないんですよ!?もう何日そこに立ち続けているんですか……!!雲雀君は死『言わないで』
そんなの、最初から分かってた
分かってたんだ
だって約束なんかしていなくても通じ合えるのだから。そんな簡単なことなど、最初から痛い程理解していた
でも−−−
「ただいまって言ってくれた時のあったかさを、待ちたいんだ」
それからお帰りなさいって思いっきり抱きつきいて一緒に手袋を買いに行って、それから、それから……
待ってます、例えあなたは来ないと分かっていても
前*次#
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!