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REBORN!短編
盲目 1827 ☆■


*パラレル(雲雀さんと綱吉が一緒に住んでいます)
上記のことをご理解頂ける方はスクロールして下さい^^










「あれ、おかしいな……」

綱吉がその違和感を訴え始めたのは数ヶ月前。目の前に霧がかかったように霞むとしきりに目をこすっていた
働き過ぎじゃないか、と彼に休憩を促すだけだった僕をもしも時間をさかのぼれるのなら、問答無用で咬み殺してやりたい

「すみません、雲雀さんに何もかも任せる形になってしまって」
ぼうっとした、はっきり焦点の定まらない君の視線が夕食を作る僕を捕らえようと宙をさ迷う


これはおかしい−−−
病院に行こうと提案するタイミングは、もうとうに過ぎていたことに気づいたのは全てが起こった後だった


「綱吉、病院に……」
「……えない……、雲雀さん、見えないです……!!」

僕が差し出した手は君の瞳に映り込むことはなく君のそれはただ、目の前で起こっている現象を反射するばかり

「見えない、雲雀さんが見えない」

不安げな声は暗闇から抜け出したいと必死にもがくようで。虚空を掻く両手が僕の腕に触れた時、君のつかいものにならなくなった瞳から悲しみをたたえた雫が溢れ出した


「綱吉、僕のことが見えないの!?」

ブンブンと縦に振られるのみの肯定を示す君はたどたどしく「雲雀さんの顔も、手も、指も、何も……見えない……っ!!」と嗚咽まじりに呟いた


一つ一つ、確かめるように綱吉の手が僕の顔を包む

「鼻…、耳…、口……」

ねえ、どうしてこの子なの??

真っ暗な世界に放り込まれてあがきながら、僕にしがみついて恋人の欠片を集める

「とりあえず病院に行こう?一時的なものかもしれないし」
「待って、一人にしないで!!触れさせて……っ!!」

何もない不安に呑み込まれそうな君を安心させるようにぎゅっと、ぎゅっと抱きしめた




雲雀さんの匂いがする−−−漆黒の中で安心出来る唯一の術は、あなたに包まれることだけ


 


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あきゅろす。
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