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学校に着くと、校庭にたくさんの人がいた。
皆ジャージを着ている。
今日何かあったっけ、と思いながら近くに行くと、クラスの奴に腕を引かれた。
「翼、お前何やってんだよ」
そう言ったのは田中だった。俺の格好を見て驚いている。
「おはよ。今日何かあったっけ?」
田中の反応に多少びびりながら尋ねると、隣にいた赤坂に変な顔をされた。
「何かって、毎朝こうだろ? 何言ってんだよ」
毎朝? そうだったろうか。
疑問に思ったが、そう言われればそうだった気がする。
俺がすまん、と謝ると、二人は「しっかりしろよな」と言った。
「こらそこ! ちゃんと並べ!」
「はい!」
急に声が聞こえたかと思うと、田中が俺の姿を隠した。陰から覗くと、生徒指導の先生がいかめしく歩いていくのが見えた。
「まずいな、時間ないし」
「しょうがない。とりあえず俺の上着貸すからお前そのまま参加しろ」
「あ、あぁ……」
赤坂にジャージの上着を借りて制服の上から着た。
二人に促されるまま、俺は人ごみに紛れた。
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